輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

線上閱讀中村 清太郎《ある偃松の独白(あるはいまつのどくはく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,905 字 · 262 頁

青空文庫

だがそれだけ急だ。五竜岳といっても、すぐ前山の、見えない肩の蔭にあるのだから。「シキ」へ通う細路から分れて、頂上まで踏み跡がある。草と雑木の山腹を登って、白檜の林をくぐり抜けると、曝露した峯脈へとりつく、後立山々脈の主稜だ。破砕された岩片の積み重なる山稜が、けわしい階段をなして、絶頂まで一気につづく。東北餓鬼谷源頭へ向っての断崖は、峻直にして堅靱、一見危うげに見えながら、また不思議な安定感を与えるのだ。そこらの石英粗面岩は、みなひどく肌目が荒けて、わさび下ろしそのままだから、何か触れるとバリバリいう。満目湿おいの無い灰色の、荒凉として無残な、ひとつの高大な廃墟――といった感がする。その廃殿の大棟が、東方信州へ向けて急角度に崩れかかったところなど、また一種の凄壮美に満ち満ちたものだ。雪が少なく、高度もやや下り、かつ南へ寄ったせいか。白馬では未だ蕾の固かった当薬が、ここでは美しくまたさびしげな花を開いていた。

曾遊の鹿島槍も、ここから近く望むと、また別趣を呈して恐ろしく高く、かつ膨大で、そのうえ満面皺だらけだ。この五竜から連なる山稜は、縦に見るため、脚下から一気に舞い揚って、稲妻形に山の胸元へからみつき、とても登ることなどできそうにも見えぬ。