輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《上杉謙信(うえすぎけんしん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 頁
ごそごそと、どこからか出てくると、その白あばたのある顔あたりへ手を翳しながら、
「うーむ、あれは甲州の初鹿野伝右衛門という話せるさむらいだ。――何しにきたのか」
と、つぶやいた。
当然、ここよりも早く、それを認めていたにちがいない麓の部隊から、さっそく河原の方へ向って駆けてゆく一群が見える。約三、四十人の武者輩であった。
こちらの岸へ、ガリガリと乗しあげてきた船の舳へ向って、
「どこへ通られるか」
と、左右二列にわかれて、槍ぶすまを突きつけている。
これはむしろ軍使を待つ儀式といっていい。戦わざる意志の槍の美しさ。またその白い光の中へ下りてくる日傘の色のきれいさ。併せて、軍使の悪びれない落着きがよかった。
「これは、甲州の臣、初鹿野伝右衛門です。主君信玄公のお旨を承って、謙信公へ直々お目にかかり申したく、かくは戦場の小閑にお訪ねして参ってござる。ねがわくばお取次を」
「お待ちなさい」
包囲形をそのままにして、一人が部隊へ走る。やがて部将がくる。そして、
「まだ、君の御意をお伺い中でござるが、ここは路傍、それがしの陣地までお越しあって、御休息でも」
と、自分の持場まで導いてきて、床几など与える。