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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《五瓣の椿(ごべんのつばき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 149,721 字 · 296 頁
「もう洗いざらい知ってるくせに」
「まだ知りたいことがたくさんあるの、先生がどうしてそう女にもてるのか、先生のために死んだ人もいるそうだし、むさし屋のおかみさんは御主人をよそにして、先生にすっかり身揚りをしたって、なぜみんなをそんなに夢中にさせることができるのか、今夜うかがっておきたいのよ」
「それは口で云わなくっても、もうすぐ貴女自身で知ることができますよ」
「そのまえに知っておきたいのよ」おみのは上半身をゆらっと振った、「まさか妖術を使うわけでもないでしょう」
「立派な医術の一つです」と得石は酒を呷って云った、「もっとも誰にでもできることじゃない、こればかりは身に備わったものだろうが、――誰か来たようじゃないか」
あがり端で「ごめん下さい」と云う声がし、得石はびくっと躯を固くした。おみのは立ってゆき、なにか話しあっていたが、やがて戻って来ると、得石に笑いかけながら坐った。
「なんだ」と彼が訊いた。
「あの三人が帰りましたって、これで安心なすったでしょ」と云って、おみのは膳の上の盃を取った、「あたしも頂くから、いまの話を続けてちょうだい」
得石は話しだした。