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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《五瓣の椿(ごべんのつばき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 149,721 字 · 296 頁
おみのはぎゅっと眼をつむった。
「こういう人間は毒にも薬にもならないというが、おそのさんのような人にとっては毒になるばかりです」
おみのはふるえる声を抑えて訊いた。
「どういうわけで毒になるんです」
「たとえば」彼は頭をぐらっと垂れ、それからすぐ思いついたように云った、「たとえば、燃えている火に焚木をくべてやる力がないようなものです、火は燃え続けに燃えようとするが、付いている者に焚木をくべてやる力がなければ、燃えている火は消えてしまうでしょう」
「それは毒だという譬えにはならないじゃないの」
「おそのさんを火だと思ってごらんなさい、ああ」と彼はふいに声をあげた、「そうだ、――火のことなんかに譬えたのは、あの人が御亭主といっしょに焼け死んだからだな、うん、そうだ、あの人はいつも火のように燃えていた、ところがその婿は焚木一本くべてやる力もなかった、おまけに癆で寝こんじまったというし、おそのさんにとっては毒薬のようなものだったんですよ」
「だって、そんな、――」とふるえながらおみのが云った、「そんな詳しいことをどうして知っていらっしゃるの」
「寝物語というやつさ」