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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
線上閱讀正岡 容《圓太郎馬車 正岡容寄席小説集(よせ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 147,226 字 · 295 頁
ばかりか、周囲の形勢は日々に非なりというふうにさえなってきていた。
まず関の岬で前座の菊造がドロンをした。
おなじく紋兵衛が逃げてしまった。
一座は下座を入れて六人になった。
いよいよみんな意気消沈した。
陰々滅々とした空気が、行く先々の楽屋中へ漂ってきた。
誰も彼もが、木戸番の呼び声を聞くたんび、どうかしてあの声にさそい込まれて一人でもお客様が入ってきてくれれば……、と真剣に祈った。
そんなときにまたお客の入ってこようわけはなかった。
楽屋の陰々滅々は悪気流の流れていくように高座の上へも、高座の上から客席へも、否むべくもなく流れていった。
いよいよお客が寄りつかなくなった。
そうしたなかで関の在の小林という村まで入ってきたとき、今度は団丸がドロンを極めた、しかも下座のお芳を連れて。
団丸より十二も年上のお芳だったが、二人はとうにいい仲になっていたらしい、逃げられたあとで、初めてわかった。
もう麦松と盲目の浮世丸と海老団治と今松の四人しきゃ残っていなかった。
ベンともツンとも三味線の鳴らない、そんな落語色物の一座なんて。
どうにもこうにもまったくしようがなくなってしまった、もう。