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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
線上閱讀正岡 容《圓太郎馬車 正岡容寄席小説集(よせ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 147,226 字 · 295 頁
男なら
一
笑いがチャンと壺に入っておる。私しゃ考えたのう、そのときに。言っちゃ悪いが熱海のような温泉場――講釈場じゃない、目明き千人盲千人のお集まり、遊び半分に聴かっしゃる場所だ。こういう所ではなまなか、私の本筋のゴツゴツした修羅場より、年の若い押し出しのいいおかし味たくさんのお前さんの噺のほうが、ずんと受けるにきまっている。くさやの干物と牡丹餅じゃ勝負になるまい。負けだ負けだ私は負けだ。昔、権現さま逃げるが勝ちよと、そこで翌晩、お名残りに『信長記』を一席読むと尻に帆かけて逃げ出したのじゃ。しかし、その二人がよりによってまたこの大磯で二人会を催そうとは……」
伯水老人、楽屋中に響き渡るような大声を立てて笑い出してしまった。
男なら
一
大磯の開化亭を五日で打ち上げた今松は、伯水老人と再会を約してまたひとりトコトコ横浜まで歩いていった。
一円二十銭ばかりのお金は稼げたけれども、一円二十銭ではふた月も三月も太平楽をきめ込んじゃいられない。
まして毎晩好きなお酒の一合でも飲もうというのでは――。
さしあたり戦争後の景気が素晴らしいと聞く横浜さして乗り込んでいったのだった。