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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
線上閱讀正岡 容《圓太郎馬車 正岡容寄席小説集(よせ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 147,226 字 · 295 頁
二
御難の辛さ、失恋の辛さ、みんな人生の涙の種にはちがいないけれど、それらに比べてまるで問題にもなにもならなかったほど、この「芸」の四十八坂は険阻だった。難渋だった。
いく度、草鞋の紐を切ったろう。
いく度、膝ッ小僧を擦り剥いて血を滲ましたろう。
木の根岩角へ躓いて、千仞の谷底へ転がり落ちようとし、崖の蔦葛へつかまってやっといのちをまっとうしたことすらもあった。
正直、咽喉を通る御飯の味がなにがなにやらわからなくなり、まったく砂を噛むに等しかったことが、前後を通じて三回あった。
二
今度、東京へ帰ってきてからの今松は、もっぱら「芸」のこと以外の研究に浮身をやつした。
それは自分という「人間」の修業だった。
「芸」の上へ、もうひとつ「人間」のよさが加わってきて、はじめて一人前の出世ができよう。
つまり「世渡り」の秘訣である、真髄である。
「世渡り」といっても巧言令色、やたらにツベコベ世辞愛嬌を並べ立てることじゃない。
すねず、腐らず、いたわりの「心」を持って、その日その日を、明るく力強く進んでいくってことである。
大恩人のことを言っちゃ悪いが、早い話があれだけ「芸」