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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 頁
二
二
この炎天下の我慢と、粒々の辛苦をして、やっと写した城の見取図が、ものもいわず、いきなり肩越しに出て来た手のために、皺くちゃに掴み奪られようとするのを見ると、武者修行は、火薬の塊りが火を呼んだように、
「何するかッ」
満身で呶鳴った。
手頸をつかまえて立つと、工事目付は奪り上げた彼の写図帖を、奪り返されまいとして、宙へその手をさしあげつつ、
「見せろ」
「無礼なッ」
「役目だ」
「なんであろうが」
「見ては悪いものか」
「悪いっ。貴様などが見たってわかるもんじゃない」
「とにかく預る」
「いかん!」
帖の写図は、双方の手に裂かれて、半図ずつ握りしめた。
「曳ッ立てるぞ、素直にせぬと」
「どこへ」
「奉行所へ」
「貴様、役人か」
「然り」
「何番の。誰の」
「左様なこと、汝らが、訊かんでもいい。此方は、工事場見廻りの役、怪しいと認めたによって、取調べるのじゃ――誰様のおゆるしをうけて、お城の地勢や、御普請などを写し取ったか」
「おれは武者修行だ、後学のため諸国の地理や築城を見学しておる、なんでわるいか」
「さような口実でうろついておる敵の間者は、蠅や蟻ほど多いのじゃ。……とにかくこれは返せん、其方も一応取りただすによって、あっちまで来い」