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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 頁
「貴公、たとえば、今にも関東、上方の手切れとなった場合は、どの手につく」
と、訊く。
又八が、ためらいなく、
「大坂方へ」
と答えると、
「ようっ」とばかり、杯を持って床几から立ち上がり、
「わが党の士か、あらためて一盞献じ申そう。して、貴君はいずれの藩士」
といって、
「いや、ゆるされい。まず自身から名乗る。それがしは、蒲生浪人の赤壁八十馬、という者。ごぞんじないか、塙団右衛門、あれとは、刎頸の友で、共に他日を期している仲。また今、大坂城での錚々たる一方の将、薄田隼人兼相とは、あの男が、漂泊時代に、共に、諸国をあるいたこともある。大野修理亮とも、三、四度会ったことがあるが、あれはすこし陰性でいかん。兼相よりは、ずっと勢力はあるが」
喋りすぎたのを気がついたように、後へもどって、
「ところで、貴公は」
と、訊き直す。
又八は、この男の話を、全部がほんととは信じなかったが、それでも、何か圧倒されたような怯け目を感じ、自分も、法螺をふき返してやろうと思った。
「越前宇坂之庄浄教寺村の、富田流の開祖、富田入道勢源先生をごぞんじか」
「名だけは聞いておる」
「その道統をうけ、中条流の一流をひらかれた無慾無私の大隠、鐘巻自斎といわるる人は、私の恩師でござる」