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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 頁
二
こういう階級の中に、ほんの一割ほどだが、乗り合わしている山伏とか、牢人者とか、儒者とか、坊主とか、武芸者などという者は、彼らからいわせるといわゆる、
(いったいなんのために生きているんだ)
と借問される部類のほうで、みんな荷梱の蔭に、ぽつねんと味気ない顔して、冬の海をながめているのだった。
二
それらのあじきない顔つきの組の中に、一人の少年が交じっていた。
「これ、じっとしておれ」
荷梱に倚り懸って、冬日の海に向いながら、膝の上に何やら丸っこい毛だらけな物を抱いている。
「ホ。可愛い小猿を」
と、そばの者がさしのぞいて、
「よく馴れてござるの」
「は」
「永くお飼いになっているのであろうな」
「いえ、ついこのごろ、土佐から阿波へ越えてくる山の中で」
「捕まえられたのか」
「その代り、親猿の群れに追いかけられて、ひどい目にあいました」
話を交わしながらも、少年は、顔を上げない。小猿を膝の間に挟んで、蚤を見つけているのだった。
前髪に紫の紐をかけ、派手やかな小袖へ、緋らしゃの胴羽織を纒っているので、少年とは見えるものの、年齢のほどは、少年という称呼に当てはまるかどうか、保証のかぎりでない。