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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 頁

青空文庫

「ごらんなさい、小猿のやつも、帆ばしらの上で骨牌をめくる真似をしている」

ヒラヒラと、そういう顔の中へ一枚の札が落ちて来た。

「畜生」

堺の商人のひとりが、あわててそれを拾いあげたが、

「まだ足らない。もう三、四枚持っているはずだ」

他の連中も口々に――

「誰か、猿のやつから、札を奪り返して来いやい。博戯が出来ぬ」

「どうして、登れるものか、あんな高いところへ」

「船頭なら」

「それや登るだろう」

「金をやって、船頭に取って来てもらおうじゃないか」

そこで船頭は、金をもらって、承諾はしたが、海上では司権者である船頭として、一応、この事件の責任を問わなければならないという顔つきで、

「お客衆」

と、荷物のうえに上がって、船客たちを見まわし、

「――あの小猿は、いったい誰の飼い猿じゃ、飼い主はここへ出てもらおう」

といった。

どこからも、おれのだといって名乗り出る者がない。しかし、その辺にいた客はみな知っている。例の美少年のすがたへ期せずして一同の眼が注がれた。

船頭も知っていた筈だ。そこで当然業腹が煮えてきたに違いない。船頭声を一段と張りあげて、

「飼い主はねえのか。