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しょうせつ ほととぎす

小説 不如帰 

徳冨 蘆花

線上閱讀徳冨 蘆花《小説 不如帰(しょうせつ ほととぎす)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,742 字 · 256 頁

青空文庫

静聴する婦人――夫人はしきりに発音の誤りを正しおる。

こは中将の日課なり。維新の騒ぎに一介の武夫として身を起こしたる子爵は、身生の忙に逐われて外国語を修むるのひまもなかりしが、昨年来予備となりて少し閑暇を得てければ、このおりにとまず英語に攻めかかれるなり。教師には手近の夫人繁子。長州の名ある士人の娘にて、久しく英国ロンドンに留学しつれば、英語は大抵の男子も及ばぬまで達者なりとか。げにもロンドンの煙にまかれし夫人は、何事によらず洋風を重んじて、家政の整理、子供の教育、皆わが洋のほかにて見もし聞きもせし通りに行わんとあせれど、事おおかたは志と違いて、僕婢は陰にわが世なれぬをあざけり、子供はおのずから寛大なる父にのみなずき、かつ良人の何事も鷹揚に東洋風なるが、まず夫人不平の種子なりけるなり。

中将が千辛万苦して一ページを読み終わり、まさに訳読にかからんとする所に、扉翻りて紅のリボンかけたる垂髪の――十五ばかりの少女入り来たり、中将が大の手に小さき読本をささげ読めるさまのおかしきを、ほほと笑いつ。

「おかあさま、飯田町の伯母様がいらッしゃいましてよ」

「そう」