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あずさがわのじょうりゅう
山岳紀行文集 日本アルプス
小島 烏水
線上閱讀小島 烏水《山岳紀行文集 日本アルプス(あずさがわのじょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,795 字 · 274 頁
は天竜川の支流和田川の奥を八重河内というし、金森長近が天正十六年に拓いた飛騨高原川沿道を河内路と唱えているから、この地に最もふさわしい名と考える。
神河内の在るところは氷柱の如き山づたいの日本アルプスの裏で、信濃南安曇郡が北に蹙まって奥飛騨の称ある、飛騨吉城郡と隣り合ったところで、南には徳本峠――松本から島々の谷へ出て、この峠へ上ると、日本アルプスの第一閃光が始めて旅客の眼に落ちる――と、北は焼岳の峠、つづいては深山生活の荒男の、胸のほむらか、硫烟の絶え間ない硫黄岳が聳えている、その間を水に浸された一束の白糸が乱れたように、沮洳の花崗の砂道があって、これでも飛騨街道の一つになっている、東には前に言った穂高や、槍ヶ岳、やや低いが西に霞沢岳、八右衛門岳が立っている、東西は一里に足らず、南北は三里という薬研の底のような谷地であるが、今憶い出しても脳神経が盛に顫動をはじめて来る心地のするのは、晶明、透徹のその水、自分にあっては聖書にも見えない創造の水、哲人の喉頭にも迸らない深思の水、この水を描いて見よう。
二
路傍の石の不器用な断片を、七つ八つ並べて三、四寸の高さと見ず、一万尺と想ってみたまえ、凸凹もあれば、※皺もあり、断崖もあって、自らなる山性を有っている、人間の裳裾に通う