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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁

青空文庫

――ちかごろ、この地方の軍司令を兼ねた一奉行が、都から赴任して来た。

時めく宋朝廷の大臣高の従兄弟で高廉という人物。

これが地方民を蔑視して、権勢をふるッているのみか、女房の弟の殷直閣という青二才が、これまたいやに貴公子ぶッた官僚臭の男で、いつも大勢の取巻きとともにのさばり歩いているやつだが、或る日「庭を見せてくれ」といって不意にここを訪れ。「――これはすばらしい。庭園もいいが、水亭閣廊、四門の造り、おまけに粋な数寄屋まで、どうしてこんな田舎にあるのか。さっそく義兄に話して、下屋敷におすすめしよう」と、まるで自分の持ち物みたいに言って帰った。

でも、まさか。

と思っていると、ほどなく、十日以内に他へ立ち退けと、殷直閣から言って来た。もちろん、当主の皇城は一笑に附していた。「――他郷者だ。わが家の来歴を知らないのも無理ではない」と。

ところが「なぜ明け渡さんか」と再三な催促である。あげくには直閣自身が呶鳴り込んで来た、で、皇城は親しく柴家の由緒を話して聞かせた。――代々この地方に住んではいるが、祖先は金枝玉葉の出であり、宋の太祖の丹書鉄券も家に伝えられている。