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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁

青空文庫

「なに。おれの武芸をみせろというのか。そんなことなら無料ですむ。おやすい頼みだ」

さらぬだに、久しく振ってみなかったかの鋼鍛え重さ六十二斤の鉄の愛杖。それを取るや、酒の莚を離れていった。まず片手振りを試み、また八相、青眼、刺戟の構えを見せ、さらに露砕、旋風破、搏浪、直天、直地の秘術など、果ては、そこに人なく、一杖なく、ただ風車の如き唸りと、円をなす光芒がぶんぶん聞えるだけだった。

すると何者か。近くの破れ土塀の崩れの辺で、

「ああ、見事。……すばらしい!」

とわれを忘れて、つい発したような声がした。

その声に、智深はつい気合いを外してしまい、しんとしていた与太もンたちの群れへ。

「誰だい? あんなところから覗いて、いま妙な気合いをかけおったのは」

「お。……ありゃあ花羅漢さま。武芸のほうじゃあ、たいしたお方でござんすよ。城八十万の禁軍ご指南役の一人、林冲と仰っしゃるお武家で」

「なに、林師範だって。そいつあ、えらいもンに見物されたな。ごあいさつせずばなるまい。おい、誰か行って、丁重にお呼びしてこい」

鴛鴦の巣は風騒にやぶられ、

濁世の波にも仏心の良吏はある事