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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁
ここの払いは、手前ども兄弟にまかせておくんなさい」
「よかろう。では、わしは手土産でも提げるとしよう。亭主、大甕一壺に酒を詰め、牛肉二十斤、鶏一トつがい、あの小舟のうちへ積んどいておくれ」
呉用は銀子一両を亭主に渡して頼んでいる。
阮の三兄弟も、それぞれ小舟にもどり、やがて呉用をのせて、夕波の江を漕ぎ渡って、家路についた。
「さアお上がンなすって」
案内してきたのは、昼、行きがけにちょっと寄った阮小二の家である。兄弟三人中、女房持ちは長兄の彼一人らしい。さっそく持って帰った肉や鶏を、女房と漁場の餌採り小僧にいいつけて、料理にかからせ、
「先生、ここなら夜ッぴて飲み明かしたっていいんですから、どうぞ今夜は帯紐解いたおつもりで召上がっておくんなさい」
と、水に臨んだ裏部屋の破れ簾を捲いて、映し入る月の光を囲んだ。
料理もできる。杯も巡りはじめる。
江上でいちど醒めた酔いがぱっと出て、話はすぐ弾みだした。
「なア兄弟がた。またしても、気がかりを言いだすようだが、十尾の金鯉を揃えるぐらいなことが、どうしてそんなにむずかしいのか」
「それやあ先生が、学問や兵法には通じていても、世事にはお晦いからでございますよ」