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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁

青空文庫

はて凡人ではないぐらいなことは、とく感づいておりましたよ。今さら驚きはいたしません。ただただあなた様の人物に傾倒してのお願いなのじゃ。どうぞおきき届けくだされい」

老父の乞いにつれて、そばにいた息子の史進も、いまはまったく自分の独りよがりな棒術の未熟さを覚ったものか、ともども、すがるような眼ざしで引きとめた。

「いや、それほどまでの仰せなれば」

と、ついに王進も、父子の懇請を容れて、その日の出立を見合せ、あらためて、師弟の約を、ここに結んだ。

「この上は不肖ですが、武芸十八般、知るかぎりの技は、ご子息にお授けいたそう。ご子息の名は、史進といわるるか」

「はい。背に九ツの龍の刺青をしているので、人は綽名して、九紋龍史進と私をよんでおります」

「棒術は誰からお習いかの」

「少年の頃、うちの食客(居候)に打虎将李忠という浪人者がおりました。面白半分な稽古が病みつきで、以後、村を通る旅の武芸者や浪人と見れば、片っぱしから当って試合してきましたが、ただの一度だって負けたことなどありゃしません。それが、どうも今日ばかりは」

「はははは、ちと勝手が違ったか。まあよいわさ、まだ十九か二十歳のお身で倖せ、初心に返れば、どうにでも撓め直しはきく」