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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁
好ましくはありませんが、一時、清風山の山寨をたよって行き、体の傷が癒ってから、いずこへでも身の落ちつきを見つけましょう。ま、人間到ルトコロ青山アリですよ。しかし市民の平和を守る鎮台を、逆に修羅としては、宋江の心も愉しむわけにゆきません」
かくて彼は、五体の諸所に膏薬を貼り、手の肱足くびには繃帯などして、その夜、花栄の家族にいとまを告げた。花栄は心ならずも、軍兵十人をつけて、清風山の麓まで見送らせた。
ところが、宋江の希いもとどかず、彼はそれからの山街道の途中で、ふたたび異様ないでたちの同勢に取囲まれ、即夜、元の鎮台大路の一門内へかつぎ戻されてしまった。
陰険で、しんねり狡い劉高は、そんなこともあろうかと、花邸の諸門に見張りを伏せておき、その狡智がまんまと図に中ったことを、
「どうだ。案のじょう!」
と独り密かに誇っていたものだった。
そんな結果とは、花栄は夢にも知っていない。以後、劉高が出直して来ないのを、
「はてな?」
と、不審にしていたぐらいなもの。そして宋江の身は、清風山へのがれたものとばかり思っていた。
かかる間に、一方の劉高は、巧妙な偽証をならべたてた上申書を作り上げ、その密封を、腹心の家来へ持たせて、時の青州府の奉行、慕蓉彦達のもとへ、上申して出た。