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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁

青空文庫

「でも、こっちは見ず知らずだし、君は一介の食客、どうだろうな」

「いやいや、じつをいえば、主人李応とこの杜興の間は、深く将来の心契で結ばれているんです。古くからいる召抱えのてまえ、表面は用心棒の食客としておりますが、吉凶、どんな相談事でも、私だけには打明けてくださる仲。……ともあれ、李家荘までおいでください。ご思案はまたその上でも」

と、杜興は恩人楊雄と石秀をうながして、そこからわが住む主家の李家荘へ案内して行った。

「なるほど」

と楊雄も石秀も、ここへ来てみて驚嘆した。

山の根に拠って、広い濠をめぐらし、千松万柳、門への道は、吊り橋だった。正門の次に内門をひかえ、白壁高く、楼に楼を層ね、武器庫、厩長屋、およそ備わらざるはない。

さらに、李応その人も、噂にたがわぬ風貌の持ちぬしで、

「おはなしは、ただいま、杜興からよく聞きました。ほかならぬ杜興の恩人。杜興に代って、旧恩にお報いいたさずばなりますまい」

と、客殿にあらわれるやいな、まず言って、楊雄と石秀を安心させた。

そしてすぐ祐筆を呼び、

「本家へだぞ。ていねいに書け」

と、頼み事を口授して、一通をしたためさせた。