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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 頁
北風南波
と、あった。その日ちょうど大雪だったので、雪によせての成政の述懐だったろうが、知らないのは雪ばかりでなく、佐々成政も、移りゆく世の動きを知らない一人だった。
北風南波
天正十二年は暮れた。人々はこの年の越年にわけて多感であった。
たしかに世の中は一変革した――という痛感の中にあった。天正十年、信長の死からわずか二年半。変れば、こうも早く変るものか――という驚きが誰にもある。
事実。かつては信長にあった衆望と栄位と、そして使命とは、もはや、そっくり秀吉の上に移っていた。いや、信長似上、秀吉的な色彩と大まかさを加え、時勢は、かれを中心に、政治や文化の微妙な旋回推進を興している。
さすがの家康でさえ、この“時の潮”をながめては、“時に逆らう”の愚をみずからなだめずにおられなかった。およそ、時運に逆らっては、よくその一生を得た一個の人間すら古来ないことを家康は知っている。人間の小と、時の偉大さとを、わきまえて、その時を得た人間に抗すべくもないことを原則に、すべての考慮をし、また秀吉に、一歩も二歩も譲っていた。
秀吉を観るに、今は、家康でさえこう思意せずにいられないのに――佐々成政のごとき、単純なる一介の武弁が、北陸の一隅などから、旧殻を脱しきれない頭脳などをもって、時運の大局を覆そうなどとは――自分を知らず、世