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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

と、約した。

光秀は、懸念した。彼の口吻からも、すでに事の不成功が予感されたからである。無条件では――と、この交渉に熱意のもちきれないような容子が、住持の面にありあり読めた。

内心、功を収めるに急だった光秀は、自身から一つの具体的な条件を提出した。――大善院は、いかに彼が焦心っているかを憐れみながら、

「それならば、城中へお使いに参るにも、単に降伏をすすめるというのでありませぬゆえ、守将の御面目も立ち、事を運ぶにもまことに運びよいかと思われます」

と、多分にその可能性のあることを告げ、やがて深更に退去した。

大善院では次の日、本目の西蔵院と協議をすすめ、和議の斡旋にあたるべく、万端その備えをしていた。

程なく、光秀の本営から、西蔵院側へ、ひとりの老女が送られて来た。それは光秀の母ということに表面いわれていたが、事実は、かれが養っている叔母であることは旧臣などみな知っていた。また西蔵院や大善院側でもうすうすは知っていたが、飽くまで光秀の母として鄭重に取り扱い、城中との折衝が運ぶに至って、これを人質として、守将の波多野秀治の許へ送った。

それに従いて、当然、大善院の住持も、使いとして城へ行った。