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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁

青空文庫

「左馬介どのか。今ほどは寔にお見事であった。よい語草をおのこしなされたぞ。はや最期のお支度と察しるが、此方に物申したいとはいかなる儀か」

「やれ、監物どのか」

と、覗き下ろして――

「なお少々さし上げる矢弾はあれど、武門のごあいさつもはや打ち切る。やがて全城火となり申さん。そのあとでは、われらの骨すらお求めあるも難しかろう。ついては、可惜、灰となすにも忍びぬ品々を、貴公の手を経て、世にお戻しいたしたい。お受け取りあれや」

云い終ると、蒲団包みや、莚ぐるみの荷物を、細曳にからげて、狭間から下へするする降ろして来た。

堀監物は意外な感に打たれた。寄手の将士もみな一様な眼をそこにこらした。矢倉の下なる監物と、上なる光春とのあいだに、なお数語が取り交わされた。

光春はいう。

「いま、お手許へお渡し申した品々は、亡き光秀様が、故信長公より生前功あるごとに拝領いたした物ばかりでござる。――それに添えてある目録を一見ねがいたい。――虚堂の墨跡、茶の湯釜、名物の茶入れ、ほかに太刀、その他数点」

監物は下で目録を見ていた。そして兵に荷を解かせ、照らし合わせて、すぐ答えた。