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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
秀吉は笑って、
「いずれ、滝川殿とも、こうして会う日が近いであろう。桑名にも立ち寄って、ありのまま、伝えおかれよ」
と、陣門から追い立てた。
一隊をあとに留めて、秀吉の軍は、六日にはもう国府城へ移動していた。数日のまにその国府も収め、転じて同国鈴鹿口に結集した。そして一手をもって関ノ城を収め、主力は峰ノ城へかかった。
峰は、亀山以下の小城だ。そこに立籠っている兵も千二百ぐらいな小勢でしかない。しかし山腹の嶮を負い、渓谷を前にし、寄手の作戦行動は、極めて狭隘な悪地にしかゆるされない条件にある。
それとここを守る滝川儀太夫は叔父勝りといわれている勇将だった。叔父とは、滝川一益のことで、いうまでもなく、彼は一益の甥なのである。
寄手の主先鋒は、仙石権兵衛、木村常陸、脇坂中務、服部采女などの手勢だった。いわゆる新進気鋭の旗本たちである。奇襲、猛攻、夜襲と城兵の息もつかせず攻めた。しかし峰は微動もしない。折々にやりと笑って城外を望見してるかのごとき守将滝川儀太夫のすがたが櫓の上に見えたりする。
「彼奴」
と、寄手の陣地で認めて、
「一発で――」
と、好い獲物的にして、引き金ひいて撃ち争ったが、当時の鉄砲である。