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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
謀略
しかも柴田軍の主陣地をなす行市山から中尾山の警備区域内でもある。果たして耳ざとい哨兵の一群が、突如、木蔭を排して踊り出で、
「どこへ」
と、僧の前へ槍垣を示した。
「おれじゃよ」
僧は、かぶっている法師頭巾を剥いでみせた。哨兵たちは、粗相を詫びて、うしろの柵へ手合図を振った。木戸にはべつな一隊がかたまっている。僧はそこの番将へ向って何か話しかけた。馬を貸せと懸合っているらしい。迷惑そうであったが否み難い要務の者とみえ、番将自身、曳いて来て渡した。僧はそれに乗ると、行市山の営へと前にも増して急いでいた。
行市山の営は、佐久間玄蕃允盛政兄弟の陣所だった。僧形の男は、玄蕃の弟安政の臣水野新六という者で、秘命を帯びてどこかへ使いしたものらしく、半刻ほど後には、
「いま戻りました」
と、主人の久右衛門安政の帷中にあって、畏っていた。
「どうだった? 吉左右は」
と、待ちわびていたらしい安政。
「まず、調いました」
と、新六。
「会えたか、首尾よう」
「いやもう、敵の監視きびしく、山路殿へ近づくだけでも、容易ではございませんでした」
「そうあろう。それでこそ特にその方をさしむけたのじゃ。