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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
と、四方へ告げると、誰かが彼のうしろで、大いに笑った。
「甚内。何を笑う」
振向いた虎之助は、そこにいた脇坂甚内を見、むッと、眼にかどを立て――ふざけたことをいうと朋輩とて許さんぞ――といわぬばかりな威を示した。
甚内は、なお笑って、
「怒るなよ、虎之助」
と、彼の方から歩み寄り――
「強敵、戸波隼人を討ったのは、出来したが、それが精いッぱいか、貴様、少し逆上っているぞ。――その首、敵兵に奪り返されぬように気をつけろ」
「だまれ。ひとの功をそねんで要らざる雑言。どこに虎之助が逆上っているか」
「人前もなく、虎之助一番槍なりと、たった今、呶鳴っていたではないか」
「一番槍ゆえ、一番槍と名のりを揚げたのが、どうして悪い?」
「ははは。無理もない」
甚内安治はずっと年上なので、平常でも虎之助輩を下風に見たがる癖がある。この折もそんな口調だった。
「――知らぬか、ついこの先の切崖で、石川兵助が拝郷五左衛門を討ち取り、石川の一番槍なりと、片桐助作が代って名乗りあげておったのを」
「あっ。そうか」
「福島市松も、浅井吉兵衛を討ッたりと、呼ばわっていた。おぬしの如きは、一番槍でも二番槍でもない。