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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
掟之事
一 進退何事モ母衣ノ者、使番次第トシ、其法ニ依ルベキ事
一 濫妨ス可カラズ、並ニ酒家ニ入ルマジキ事
一 疎ラ駈ケスマジキ事
一 勝利ニ誇ル可カラザル事
一 合戦ヲ心ニ備ヘ、夜討ノ用意アルベキ事
宵から夜半までの間に、一時、陣々へも噂がひろまったように、秀吉の営内に、さまざまな人物の出入りがあったことは確かであり、そのため、勝家の助命運動が行われているとか、即時開城になるとか、取沙汰もあったが、夜半過ぎるも、当初の作戦方針には、何の変更も見なかった。
早くも、陣々には、夜明け近きを思わせるものがうごいた。
そのうちに、貝が鳴った。霧をやぶる太鼓の音が、鼕々、全陣地を揺るがし始めた。
すでに東の空は明るい。
総攻撃は、予定どおり、寅の一点(午前四時)の時刻も狂いなく開始されたのだ。城壁に面した先手の銃声からまずその火ぶたは切られ出した。
バチバチと、凄まじい霧の中の音だったが――どうしたのか、その銃声も、一番手の喊声も、間もなく、はたと熄んでしまったため、
「はて、何か?」
と、尠なからず全軍の動きをためらわせた。
そのとき、母衣の者(伝令)が一騎――霧を衝いて、秀吉の床几場と、堀秀政の陣地とのあいだを、鞭打って往復していた。