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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
程なく。
城外の柳の馬場から、三名の女子を伴った一名の敵の侍が、秀政の配下や母衣の武者に導かれて、徒歩で、市街の方へ出て来るのが見られた。
「鉄砲止め。撃ち方止め」
と、母衣の士だけは騎馬で、注意ぶかく先に触れて通った。
「オオ。城中から出て来た落し人か……」
兵は、目をそばだてた。
これが、信長の姪にあたる、三人の姫たちとは知らないまでも、霧に濡れゆく六ツの袂の可憐さにみな見送っていた。
姉は妹の手をひき、その妹は、末の妹を宥わりつつ、石ころ道を爪さき立てて歩いた。
降人の作法として、穿き物を取らないのが礼なので、姫たちも、絹足袋のまま土を踏んでいた。
「痛い、痛い……」
末の姫は、歩こうとしない。お城へ帰りたいとばかりいう。
城中から付き添って出た富永新六郎は、だましすかして、背なかに負った。
「新六、どこへゆくの」
背の姫は、顫くのだった。美しい死体を負っているような冷たさに、新六郎まで、生きた心地もなく涙で答えた。
「よい小父様のいらっしゃる処へ――」
「嫌、嫌。……」
末姫は、泣き出した。
十三の姉、十七の姉は、ふたりして、懸命に慰める。
「後から、お母さまも、おいで遊ばすでしょう。