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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
「巨きな山は、山へ近づくほど巨きさが見えなくなる。山のふところへ入るとなお分らなくなるものだ。諸人の批評を聞き較べておるがよい。たいがいは山の全体を観て云っているのではない。一峰一渓を見て全体と思っていたり、限られた眼界の草木や道を見て全山の評をしているに過ぎない。ほんとの人物というものは、到底、そんな狭い眼で見とおせるような者だったら、それは所詮、或る程度の、求めれば世間に代りの幾らもある人物でしかあるまいが」
こう教えられてもまだ忠興のあたまには依然として(そうかなあ?)が残されていた。が、世の経験と、あらゆる人間を観て来たことにかけては、父藤孝に遠く及ばない子である点において、忠興は素直に父の言を肯定せざるを得なかった。結局、人間として、もっと自分が成長してみなければ分らない観念の限界の問題であろうと、彼は謙虚に返って眸をおさめた。
驚くべきことには、それから二日目に、長浜の城は、一兵も損せず、秀吉の掌の物になった。
秀吉が、細川父子へ、「彼の方から城を捧げてくる」といっていた予告通りに運ばれて来たのである。
伊賀守勝豊の老臣、木下半右衛門、大金藤八郎、徳永石見守の三人がその使いだった。