輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁

青空文庫

「殿。まだ御旅装も解かずにおいでか」

「武蔵か。まあ坐れ」

「坐りもしようが、まずお湯殿へなと渡らせられ、一浴みした上にいたされては」

武蔵守も、ここへ来れば、御表とちがい、秀吉の姉婿として、内輪の者のひとりだった。秀吉もまた義兄の言と素直に肯いて、

「そうそう、それよ」

と、やおら起ち、

「寧子、案内」

と頤をすくって出て行った。

うれしそうであった。それはすぐ「はい」と、良人の声に応じて従いて行った妻のすがたに、ありあり見えたものである。

偉大な男性をわが良人とした女性は、選ばれた幸福者には似ているが、狭い女ごころや小さい貞淑の対象とするだけでは、到底、この良人は持ちきれない。

ほとんど、家にいない日の方が多く、たまたま家にある日も、良人のまわりは十重二十重の公務や家臣や近親が取り巻いてしまう。また、その男性が不断に闘っている創造の世界が儼として妻を隔てがちである。が、妻はあくまで侍く妻でなければならない。しかも、よい女房でなければならない。

寧子は、湯殿の揚り屋に脱ぎ捨てられた良人のものを自身で畳みつけていた。武者羽織、小袖、下着、肌襦袢など、それは久しく替えたこともないように垢じみていた。