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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁

青空文庫

だが、三千世界の知識碩学、乃至、不覊狷介、乃至、愚婦懦夫、あらゆる凡下までを容れるには、器では盛りきれまい」

「はて。わからぬ」

「わかりきっておる」

「では、そもそも、秀吉という人間は、いったい何じゃ」

「そう訊かれると。……さて、なんであろ、摂津二郡播磨ノ国守平朝臣左近衛少将――は、さアなんであろうな」

わざと、小首を傾げ、

「やあ、忘れていた。思えば大きな忘れものよ。――この身もやはり人間であったわえ。姉婿、よう見知りおいてくれ。秀吉は人間にて候うぞや」

「ホホホホ」

「ほ、ほ、ほ」

秀吉のひょうきんには、内輪では度々見ている老母も妻も、お末の人々も、周りで笑いこぼれていた。――が、彼と義兄の間には、それこそ滅多に見られない真面目な眉と眉があった。

「われも人間じゃによって、秀吉、人間誰もの心が、まず分る。民のほかにある別拵えの器などではないが、民と同じの秀吉ではある。――秀吉は民と一者なり。それしか云いようがない」

「…………」

「さあるからには、政諸事、心やすい。智者賢人もくるめて人はおよそ凡下なものと思う。……が、凡下といえど、底の底には、事あらば涙とも噴き、怒れば天も搏つ、霊の泉をみな胸に持っておる。