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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁

青空文庫

――が、まだ伊勢方面の変を、正しく知っていない者もあるやと、

「仔細は、関盛信から語らせよう。盛信、一同へ話せ」

と譲って、自身は口をとじた。百言に勝る怒りを見よといわぬばかり沈黙を守っていた。

留守の間に、家士の岩間三太夫に裏切られ、自城も峰ノ城も奪られた盛信の感情は、それを移して、一同の義憤となすに充分だった。

わけて蒲生氏郷の妹は、盛信の子一致に嫁している。両家は姻戚だ。氏郷の眉目には、誰よりも強い決意が見えた。

「――初めの早馬は、姫路で受け、これへ参る途中でも、次々の報を聞き申したが、その後、岩間三太夫めは、当然、滝川一益と合体し、一益は令を下して、峰ノ城には甥の滝川詮益を、関には滝川法忠を、亀山には佐治益氏を、それぞれ配して、鈴鹿口を扼し、こなたの南下を犇々備えておるとのことでおざる」

盛信が云い終ると、

「滝川ずれは何ともないが」

と、秀吉が補足した。

「主要は、柴田勝家のうごきにある。柴田がのうては、そんな動きをなす滝川でもない。――で、ここは、柴田の北兵どもが出で来らぬ以前に、伊勢一円を片づけてしまわにゃならぬ。柳ヶ瀬、賤ヶ嶽など、境の山々が、いまや積雪千丈の自然の防ぎをなしておるこそ一倍の強味よ。