輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
誰か知らん千丈の雪。彼が鉄壁と見ていた方略の雪壁は、すでに春ともならぬまに崩れ出して来たではないか。
勝家とて、その地響きに、耳愕かされぬはずはない。
岐阜落城。長浜の叛離。神戸信孝、秀吉の軍門に降る、等々の報。
つづいて、近頃、
(筑前、檄を飛ばし、伊勢攻略の企てあり。滝川また頻りにうごく)
と聞いては、焦躁いよいよ思うべしである。居ても立ってもいられない心地があろう。
しかし、江越の境は、雪、蜀道の如きものがある。兵も輜重も越えられたものではない。
(彼より襲い来る憂いなし)
と、ひそかに恃み安んじて、進むはそれの解くる日にありとしていた雪は、何ぞ知らん、事今日に到ってみると、敵国の防壁と化していた。おのずから、みずからの兵を、氷雪の裡に為すなく押しこめておくほかなきものとしていたのである。
(一益ともあろう老巧が、亀山や峰の小城など奪るに、何で時も計らず粗相に兵を動かしおったか。愚かな沙汰よ)
勝家は真に腹を立てた。
すでに大計において、自己の盲策が過っていたことは措いて、時を待たず起した滝川一益の行動を、愚だと、罵った。
こういう取返しのつかぬ大きな齟齬に行き当たったとき、いよいよ、味方は味方を励ましあうべきはずなのに、事実は、妙に味方が味方を口ぎたなく憤り合う傾きを生じやすい。