輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

たまものまえ

玉藻の前

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《玉藻の前(たまものまえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,703 字 · 261 頁

青空文庫

して、お師匠さまはどうしてござる」

「その後も悪魔の調伏に心を砕いて、夜も碌々にお眠りなさらぬ」と、泰忠も声をくもらせて言った。「それに付けても口惜しいのは、悪魔のいよいよはびこることじゃ。お身はまだ知らぬか、玉藻はいよいよ采女に召さるるというぞ」

さきごろ関白忠通から正式に玉藻を采女に推薦した。それに対して、頼長は相変わらず強硬に反対したが、忠通は頑として肯かなかった。何分にもこの前とは違って玉藻は雨乞いの奇特を世に示して、その名はもう雲の上までも聞こえている。相手にはそういう強味がある上に、頼長が唯一の味方と頼む信西入道がなぜか今度は不得要領で、木にも付かず草にも付かぬというあいまいの態度を取っているので、味方はいよいよ影が薄い。蔭では兄の文弱を日ごろ罵り卑しめている頼長も、さすがに殿上で顔を向き合わせては、有る甲斐なしに兄を言い破るわけにもいかない。もうひとつには、玉藻の三井寺詣でを待ち受けて、遠矢に掛けようとした事も忠通に知られている。そういう事情がいろいろからんでいるので、彼は肚の中では苛いらしながらも、正面の論戦ではどうも思うように闘うことが出来ない。