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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《神州纐纈城(しんしゅうこうけつじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 188,242 字 · 380 頁

青空文庫

その頃の胎内は洞然とした、洞の国に過ぎなかった。今は無数の建物が、隙間もなく立っていた。

やがて一隊は寿相門を通り、岩石造りの楼門へ出た。四涜の塔と呼ばれていた。そこには四人の悪神の像が、呪縛されて置かれてあった。それを通ると鐘楼であった。梵鐘は青く緑青を吹き、高く空に懸かっていた。五岳の塔と六府の塔を、左の方に睨みながら、九曜殿の方へ進んで行った。黒木造りの宮殿で、教団に属する財宝は、そこに一切貯えられてあった。

弓形の門を通り過ぎた。右へ行けば籠り堂で、岩壁を刳り抜いて造られてあった。左へ行けば苦行堂で、これも岩壁で造られていた。中庭へ出、坂を上った。その頂上に塔があった。朱塗りの美しい三重の塔で、経文が納められてあるのであった。

坂を向こうへ下って行った。

この時突然庄三郎は千切れるような悲鳴を上げ、握った拳を頭上で振った。そうして俯向せに地に仆れた。そうしてとうとう動かなくなった。

六

夜光虫の光で胎内の国は、紫陽花色に煙っていた。あらゆる人工天工が、陰影のない微光に照らされていた。

四辺は寂然と静かであった。

空は暗く高かった。その空の涯の極まる所は、富士の内側の岩組であった。