輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《神州纐纈城(しんしゅうこうけつじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 188,242 字 · 380 頁
休息みたいだけ休んだので庄三郎は元気付いた。でドンドン走り下った。
甲府の城下へ着いたのはその翌日の夕方であったが躑躅ヶ崎のお館の白い石垣を眺めた時にはさすがにホッと安心した。
自家と云っても同族の土屋右衛門の邸であったが、そこへ帰って来た庄三郎は、人達から驚異の眼で見られた。
一夜のうちに富士のお山の五合目あたりまで行くということは、この時代としてはあり得べからざることで、驚く方が当然であった。
「恐らく神隠しに会ったのであろう」「いや天狗に攫われたのであろう」――などと人達は云い合ったが、これまた云う方が理であった。
弁解すれば弁解するほど益々疑いを増すばかりだと、こう思い付いた庄三郎は、何んと誰から訊かれても、自分の奇異な経験について物語ろうとしなかった。
しばらく館への出仕も止め家にばかり籠っていた。そうして時々例の紅巾を、窃り取り出して眺めてはわずかに心を慰めていた。
土用の明けた翌日からいつも武田家では曝涼をした。
今年は七月の八日というのがちょうどその日に当っていた。
新羅三郎義光以来連綿と続いて来た武田家である。その間およそ五百年。