輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,598 字 · 254 頁
――ひらと、その長い裳裾が車の簾を離れたのと、その後ろで、
「見たぞッ、日野殿っ」
本庄鬼六以下が、わっと言ったのが、ほとんど間髪の差であった。
「やあ、無法な」
阻止する衛府の士と、盲目的な六波羅者との間に、たちまち、凄まじい格闘が起ったのはいうまでもない。
平治ノ乱のむかしは、ここも武者草鞋や馬蹄にじゅうりんされたこともあるが、今日こんな無法な侵入は、衛府としてゆるし難い。彼らの極力な阻止は当然なのだ。
さすが、粗暴な捕兵らも、それには、たじろぎ気味だった。――しかし鬼六にすれば、多年、翻弄されぬいて来た日野俊基だ。――その実の姿を、いま眼の先に見たのである。仮借はできない。
かつは、関東武者の腹には「洒落くさい青公卿ばらが」という反動やら、また「大内とて、いまは幕府の監視のうちだ」としている思いあがッた自負もある。
「やわ、何ンで」
鬼六は自分を叱咤し、そして立ちふさがる衛士を刎ね飛ばしながら、
「日野殿、きたないぞ。逃げようとて、この鬼六が、逃がすものかわ」
と、のめるが如く、なお追ッかけた。
俊基は、沓も履かず、束帯の裾を尾長鶏の尾のように曳きながら、大膳寮の横を、中務省の方へと、逃げまろんで行った。