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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,598 字 · 254 頁
しかも治外法権ともいえる和合と結束があるので、やっと蘇生の思いがした。けれど夫婦の仲の初子は、まもなく村で亡くなった。
ともあれ、治外法権の阿弥衆部落は、元成夫婦にとって、絶好な“身隠し”の場所ではあったが、しかし、いつまでそこも、安全ではなかった。
来る衆は、拒まず
去る衆は、追わず
としている雑多な男女の教団なので、自然、偽装した官辺の手先なども、紛れこむのはぜひがない。
それに、卯木と元成との、一対の姿は、この庶民の沼底をすくッたような阿弥村では、鶏群中の一鶴みたいに、余りに人目立ってもいた。
「気をつけなよ」
それとなく、夫婦へ注意してくれる仲間もある。
「なぜか、わけは知らないが、お前さん方に、とかく眼をつけているうさんな人間が、ここにもいるぜ。幾人となく」
夫婦にも分っていた。
かくて、阿弥村にいることも一年たらずで、都の外へ、流浪のほかなく、流浪して出た。
だが、阿弥仲間の強い生き方を一年ほど見て「――人間、何をしても生きようとすれば、生きられる」自信だけは習びえていた。元成が、好きな道を生業に活かして、大道芸人の仲間に伍したのは、それからだった。