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びしょうじょいちばんのり

美少女一番乗り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《美少女一番乗り(びしょうじょいちばんのり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 73,583 字 · 149 頁

青空文庫

二

「しッ! 誰か参ります」

藤兵衛は不意に直記の言葉を制すると、素早く立上がって店の方へ出て行った。

二人が出て行くのとほとんど入違いに、奥の方の襖が明いてお通が入って来た。もう捜し疲れている様子で、中の間の中央に立ったまましばらく四辺を見廻していたが、……櫃の上に飾ってある鎧がぐらっと動くのを見て、

「あっ、みつけた!」

と叫びながら走り寄った。

この叫び声があまりに突然だったので、清吉は狼狽したものか、櫃の上へ避けるように立上がったが、そのとたんに櫃がぐらっと横へ倒れかかり、清吉は鎧冑を着けたまま、のけさまに後ろへだあっと墜ちた。……その時お通は、冑の鉢が、床柱へ烈しく当たる気味の悪い音をはっきりと聞いた。

二

「ちょっとこちらへ……」

医者の丸山道玄は起ちながら、主人の治兵衛を手招きした。

お通は早くもそれを覚って、父の後からそっと立って行った。――櫃の上から墜ちたとき気絶したまま、清吉は昏々と眠っている、強いて呼覚ましてもぼんやりと眼を明くだけで、口も利けず人の声もわからぬらしい。そこで石町の医者道玄を招いたのである。

「どうも少しむずかしゅうございますな」