輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はなもかたなも

花も刀も

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《花も刀も(はなもかたなも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 頁

青空文庫

と、幹太郎が云った。

幸坊はお豊の袂を引きながら、お豊の許可を求めるようにふり仰いだ。お豊はそれに頷いてみせ、幹太郎に向って、

「あんた本当に三公のやつをやったの」と訊いた。

幹太郎は苦笑して、なに峰打ちだ、と答えた。あらいやだ、だって三公はいまにも死にそうな声をあげてたし、平手さんもおどかしてたじゃないの、とお豊が云った。医者を呼んでやるからじっとしてろ、動くと出血して死んじまうぞなんて。峰打ちだ、と幹太郎が云った。毛ほどの傷もありはしない、自分で斬られたと思いこんだだけだ。あらいやだ、まあ呆れた、とお豊は笑いだした。それなのにもう眼が見えないなんて、泣いていたじゃないの、こんなことってあるかしら、お豊はそう云ってなお声をあげて笑った。

――旅籠町の『山源』だ、と幹太郎は考えていた。

二人を抱えた以上、そうするよりしかたがない。秋田に心配させるのは悪いが、事情がこうなっては、やむを得ないだろう。思いきって『山源』へゆくことにしよう、と幹太郎は心をきめた。

――二人を背負ったことが、却って道のひらける機会になるかもしれない。

幹太郎はそう思った。

「おじさん、追っかけて来るぜ」