輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はなもかたなも

花も刀も

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《花も刀も(はなもかたなも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 頁

青空文庫

そして、太刀は地味であるが、その的確さと鋭さは水際立っていた。

「なにか心配ごとでもあるのか」

茶を啜ってから、幹太郎は穏やかな調子で訊いた。

重四郎はすすめられた団扇も取らず、固く坐ってうなだれたまま、黙っていた。

「半月ほどまえから調子が落ちるばかりだ、この四五日はもっともひどい、いったいどうしたというんだ」

「私はだめです」と、重四郎が俯向いたままで云った。幹太郎は団扇を止めて次の言葉を待った。しかし重四郎があとを続けないので、「どうしてだ」と促した。すると重四郎は、私は道場をさがります、と云った。幹太郎は、しばらく黙っていたが、やがて「わけを聞こう」と、少し強い口ぶりになった。

「いつかも云ったとおり、おれは野口をたのみにしている、上村も相当やるだろうが、勝負まで勝ち残るのは野口だと思う。稽古をきびしくしたのもそのためだ、それを知っている筈ではないか」

「私はだめです、だめな人間です先生」と、重四郎は云った、「どうか、私のことをそんなふうにお考えにならないで下さい、私は本当にだめなんです、そして、今日限り稽古もやめさせて頂きたいんです」

「それは本気なのか」