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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

三

平次は気さくに言って、煙草入を腰に――立上がったのでした。

三

銭形平次と八五郎は、お浜に案内させて、すぐ佐久間町の灸点横町へ駆け付けました。

「さあ、殺せ――殺してくれ、お願いだから殺してくれ」

危ないドブ板を踏むと、奥からは押潰されたような声、平次は、さすがにギョッとして立止まります。

「八、――お浜はどうした」

平次はフト、一緒に来たお浜の姿の見えなくなったのに気がつきました。

「へッ、へッ、へッ」

「何を笑やがる」

「路地の外を覗いて下さいよ、親分」

八五郎の指す方を、二三歩戻って覗くと、お浜は二十二三の若い男の胸に顔を埋めるように、何やら熱心に話しているではありませんか。

「ありゃ何だ」

「経師屋の吉三郎――てんで、とんだ二枚目さ、へッへッへッ」

「やッかむな、八」

「妬くわけじゃねえが、少しは気になりますよ、親分」

「お浜に男があるとは気がつかなかった。構うことはねえ、一と当り当ってみるがいい」

「縄を掛けるんですか、親分」

「あわてちゃいけねえ、この家と掛り合いの人間で、最初に逢った男だ。訊いたら何とか言うだろう、懐の十手を引っ込めて、惚気でもいわせてみるがいい」