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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁
八
「親分さん、下手人はやはり、あの徳松の野郎でしょうか」
お楽は顔を挙げました。
「いや解らぬ、三人に逢って訊いてみなきゃ」
平次と八五郎と源吉は、目白の番所へ引揚げました。
八
そこへ行くと、三人の縄付に逢う前に、平次は、剃刀と手拭を見せて貰います。
剃刀はありふれた床屋使いの品、柄のところに籐を巻いて、磨ぎ減らしてありますが、なかなかよく切れそうです。
「これが、お吉の手拭か」
次に取上げた手拭は、何の変哲もない中古の品で、よく乾いてしまって、泥も砂もついてはおりません。
「湯屋の前で落したというが、砂も泥もついてはいない――もっとも、お吉は帰って来てすぐ洗ったといってるが」
と源吉。
「なるほど」
平次はそれっきり手拭を返して、番所の中へ入りました。中には、徳松と、お吉と、弥助が、縄も解かず、役所にも送られず、三人の手先が付き添って、黙りこくって控えております。
「徳松」
「…………」
平次は凝と若い男の顔に見入りました。せいぜい二十五六でしょう。身を持崩してはおりますが、百姓の子らしい堅実さのどこかに残る様子も、決して人を不愉快にさせるような男ではありません。