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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

お楽はキリキリと歯を鳴らします。継娘にお菊を殺されたと思い込むと、矢も楯もたまらぬ憎悪に、煮えくり返るような心持だったのでしょう。

柴田文内と吉住求馬は、そこそこに外へ出ました。半狂乱の母親を相手に、呪いと恨みの数々を聞かされるのは、とても我慢が出来ません。

外へ出ると、三つ股の源吉と子分の安は、弥助の連れ娘お吉を縛り上げて、弥助の驚きと嘆きを他所に、ここを引揚げるところです。

「源吉とか申したな」

「ヘエ――、柴田様と吉住様で、とんだことでございましたな」

源吉の片頬には、ニヤリと皮肉な笑いが動きましたが、あわてて、揉みほぐすように、その頬へ手を当てました。

「その娘に疑いが懸ったのか」

と、吉住求馬、若い義憤らしいものが燃えたのでしょう、少しせき込んだ調子です。

「ヘエ――、昨夜一緒に風呂へ行ったのはこの娘で、――手拭を忘れて湯屋へ戻ったと言いますが、番台で訊くと、戻らなかったと言いますよ」

「戻りましたよ、湯屋の前まで行って、暖簾を潜ろうとすると、私の手拭は入口のドブ板の上に落ちていたんです」

お吉は躍起と抗弁しました。お菊より二つ年上ですが、体が悪いせいか小柄で、お浅お菊姉妹には比べられないにしても、お楽が化物娘というほど醜くはありません。