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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

四

平次は彦兵衛を起してやって、その胸から膝へ一面に付いた土埃を払ってやりました。

もう出始めた街の人達、酔っ払いの介抱とでも思ったのか、それを遠巻きに見ているのでした。

四

田原町の経師屋東作、四十年輩の気のきいた男ですが、これが描き菊石の東作といわれた、稀代の兇賊と知る者は滅多にありません。

その奥の、思いの外贅を尽した一と間に、主人の東作と、左官の彦兵衛は相対しました。

「久し振りだね、彦兄イ。眼と鼻の間に住んでいても、稼業が違うと、こうも逢わないものか」

東作は渋い茶一杯淹れるでもない冷たい態度で、少し茶化し加減にこう言うのでした。

「お蔭で地道な貧乏暮しも四年と続いたが――今日はね東作、少しお願いがあって来たんだが――」

彦兵衛は居心地が悪そうにモジモジしながら、思い切った様子で切出しました。

「ハテネ、堅気のお前さんからの頼み、というと、袋戸棚の唐紙でも貼って貰いたいと言うのかい」

東作は煙草盆を引寄せて一服吸付け、長閑な煙を長々と吐きました。プーンと高貴な、国府の薫り――。

「外じゃねえ。昨日向島で抜いた、増屋の息子の三百八十両」

「何を言うんだい、彦兄イ。