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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

「いい塩梅に眠たようだ。お富、枕を持って来な、――それから、行灯を退かせるのだ」

「…………」

黙って行灯を退かせ、杯盤をざっと片付けて、お富は部屋の隅に顫えております。

「驚くことはない。少し静かにしたら、よく落着くだろう」

「…………」

「とんだ獣に付合いさせて、気の毒だったなア。お富、その代り、この跡始末は俺がしてやる」

彦兵衛は乱酔して、正体もなく眠りこけた東作の側に膝行寄りました。

「父さん」

お富は思わず声を出しました。父親の戸が妙に物馴れた滑らかさで、何にも知らずに眠っている、東作の懐中にスルスルと入って行くではありませんか。

「抜かれた物を抜くまでのことだ。驚くことはない」

ズルズルと抽出したのは、蛙を呑んだ蛇のように、恐ろしく脹らんだ胴巻。

「ウ、ウン、ウ、ウ」

うなされたように、寝返りを打つ東作。

「…………」

彦兵衛の右手には、キラリと匕首が光りました。

「父さん」

「大丈夫だ、心配するな。こんな毒虫は、人助けのために命を取っても仔細はないが、俺は卑怯な人殺しはしねえ」

「…………」

「お前はその胴巻を持って、横山町の増屋へ行ってくれ、――ここにまごまごしていて、この野郎が眼を覚すと、後が面倒だ」