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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁
バラバラと乱れ打つ刃、平次はそれをどう掻い潜ったか、半分は同士討をさせて、
「ここだ、馬鹿奴ッ」
拳を挙げると、平次の手から、函嶺名物の焼け石が乱れ飛びます。
それに勢いを得て、二人の青侍も、必死の刃をかけ並べ、馬の三方を守って、激しく切り合いました。
が、多勢に無勢、しばらくの後、井上玄蕃は生け捕られ、二人の青侍も薄傷を負った様子、手馴れた銭を投げられないので、平次の武力も思うに任せません。
最早これまで――、勝敗の数は定りました。
畑宿へ一里、関所へ一里、真夜中過ぎの往来はピタリと絶えて、救いの道の全くあろうとも思えぬところへ、
「御用ッ、御用ッ、御用だぞッ」
函嶺全山を揺るがすほどの声がして、ガラッ八の八五郎、疾風のごとく飛んで来たのです。
「お、八か」
さすがにホッとした平次。
「俺が来さえすりゃ百人力だ、――親分、小田原のお役人が、千人ばかり畑宿をくり出しましたぜ」
八五郎の宣伝力の偉大さ。
「助太刀なんか要るものか、銭さえありゃ俺一人で片付けてやるが、藤沢で掏られて空っ尻だ。八、――穴のあいたのがあったら少し貸せ」
と平次。
「有難え、親分に金を貸すのは生れて始めてだ、大判や小判はねえが、穴のあいたのならうんとあるぜ」