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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

「そいつは気の毒だ。岡っ引だって鬼や蛇じゃねえ、早くそういって来さえすれば、何とかお前一人の身の振り方ぐらい考えてやったのに――」

「親分、そういって下さると嬉しいけれど、私はどうせ大泥棒の妹だから」

「そうひがんじゃいけねえ、お前の身の立つように、及ばずながら何とか工夫をしてやろう。もう死ぬなんて、つまらねえ心持は起しちゃならねえよ」

「…………」

お楽は泣いておりました。

「親分、土左衛門はどうしました」

軽舸で擦れ違ったのは八五郎でした。河へ飛込んだ親分の身を案じて、西両国の橋番所に駆け付けると、船を出して貰って現場――橋の下――へ漕がせたのです。

「八か、何て口をきくんだ」

「それじゃお土左」

「馬鹿ッ」

こんな他愛のない掛合が、船の中の空気をすっかり柔らげてくれました。

「親分、寒かったでしょうね、――その女は橋番所に引渡して大急ぎで帰りましょう。姐御は一本付けて待ってますぜ」

「この人を伴れて帰るんだ、駕籠をそういってくれ」

「ヘエ――、お土左を? 物好きだねえ」

「つまらねえ事をいうな、――笹屋の旦那、それじゃこの女はあっしが引取って参ります。とんだお世話になりました」