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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

平次は朝から留守、どうする事も出来ません。そのうちに誰が言ってやったか、町役人が見廻り同心を連れてやって来ました。

後ろから顔を出したのは、どうして嗅ぎ付けたか、三輪の万七とお神楽の清吉。お品は「しまった」と思いましたが、今さら病中の父親を連れて来るわけにもいかず、一人で気を揉んでおります。

「旦那、申上げます。殺されたのは、この間から平次のところへ入り込んでいる女で、お楽とかいうそうです。そのために平次は女房のお静を出したって話ですから、いずれ、そんな事で刃物三昧になったんじゃございませんか」

万七はすっかり好い心持そうに、お楽の死体を見たり、その辺中の人に当ったり、目まぐるしく活動しては、合間合間に同心に報告しております。

「刃物は何だ」

「匕首の細いのでございます、後ろから突いたところをみると、下手人はどうせ女でしょう」

「フーム」

「妙な物を見付けましたよ、旦那、死体の傍の血の中にこれが落ちていました」

万七の渡したのを見ると、斑の入った鼈甲の櫛。銀で唐草を散らした、その頃にしては、この上もなく贅沢な品です。

「これはいい手掛りだ」

と同心。

「心当りの者を聞くと、それほどの品ですから間違いはありません、平次の女房のお静の品なんだそうで――」