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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁
中には古綿をつくねたような、見る影もない乞食の死骸――と思うと大違い、苦悶に歪んで、妙に怪奇な身体の恰好になっておりますが、年の頃二十五六の、何となく美男という感じのする男の死体です。
それに、病気のせいもあったでしょうが、乞食にしては色も白く、ところどころよごれはありますが、それも大したことではなく、見た感じは、それほど醜くもなっておりません。
ただ平次が驚いたのは、死骸は素人の眼にも異常で、毒死の跡がはっきり判ることだったのです。平次も日頃『検屍弁疑』ぐらいは読んでおりますが、その中の毒死の幾項かは、この死骸にはっきり現れているような気がするのです。
「医者に立ち会って貰ったかい、爺さん」
「いえ、それどころじゃありません、旦那方は秋祭の支度で眼が廻る騒ぎで――」
番太の親爺は心得たことを言います。
「八、検屍のやり直しというわけにも行くまいが、町役人にそう言って、念のため町内の本道(内科医)を連れて来てくれ。道端の物貰いに毒を飲ませて、懐中の百両を盗らずに行くなんかは、少しおかしいよ」
「よし来たッ、町役人が文句を言ったら八丁堀まで飛んで行って、笹野の旦那に江戸一番という医者を連れて来て貰おうか」