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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

「馬鹿だなア、八丁堀まで行っちゃ日が暮れるじゃないか、丁寧に頼むんだぞ」

「心得てるよ、親分」

ガラッ八は横っ飛びにスッ飛んで行きましたが、どう話をつけたものか、間もなく町役人と坊主頭の医者を一人、手を引っ張るようにして連れて来たものです。

医者は屍体の眼を見、唇を見、爪を見、それから全身を調べて、薬箱から取出した銀の簪、それを何やら薬液に浸して屍体の口に入れ、しばらくして取出して、水で洗って、

「フーム」

と眺めております。

「毒は何でしょう」

「そこまでは判らないが、毒を飲まされて死んだ事に間違いはない、この通り」

医者の差出した銀簪を見ると、なるほどその先が青黒く色変りがしております。

「死んだ後で口の中へ毒を入れたのじゃありませんね」

「そんな事はない。爪の色、眼瞼の中がまるで違う」

「有難う、とんだ手数をかけました」

平次は丁寧に医者を送り返しました。

「親分、大変なことになったね」

ガラッ八は妙な行掛りに、すっかり面喰らっております。

「八、この男の身許を洗ってくれ、生れながらの物貰いじゃあるめえ」

「そんな事なら訳はありません」

ガラッ八は足を空に飛んで行きます。